新潟市西蒲区の保苅米穀は、1923(大正12)年創業の米穀専門店。県の三大米どころ「魚沼」「岩船」「佐渡」のコシヒカリをはじめ、各地のお米を県内外の飲食店や土産物店へ販売しています。
代表を務めるのは、五ツ星お米マイスターの資格を持つ保苅晃規さん。お米の品質にとことんこだわり、県内各地の生産者のもとへ足を運び、自身が納得したものだけを厳選しています。お米の産地や等級はさることながら、保管や精米方法においても妥協を許しません。お米ごとの持ち味を発揮できるように丁寧に精米し、時にはブレンドしているそうです。
新潟直送計画では、魚沼・岩船・佐渡産コシヒカリなど、5種類のお米を詰め合わせたギフトセットを出品。「新潟米(マイ)ライフ」と名付けたオリジナル商品です。カラフルでポップなパッケージは、「かわいい」「手土産にぴったり」と人気を集めています。
今回は、ギフトセットのパッケージや企業ロゴ、リーフレットのデザインをご依頼いただきました。デザインにまつわるエピソードや反響について保苅さんに伺います。
社長 保苅晃規 様
新潟市西蒲区出身。県内の企業で数年間勤務した後、1998年に保苅米穀に入社した。2004年に社長に就任したタイミングで、会社の強みを伸ばすべく、五ツ星お米マイスターの資格を取得。厳しい目利きで、日々、お米を買い付け、高品質な商品を追求している。「新潟米ライフ」は保苅さん考案の自社オリジナル商品。「新潟のお米を中心にして食卓を囲んでほしい」という想いがこもっているそうだ。そんな保苅さんの好きなお米の品種は新之助だとか。「もともとシャキッとした食感のお米が好きだったので、新之助が登場した時は『こりゃ良い米だ』と感動しました。家庭内でも品種の好みが分かれますが、譲れないですねぇ」と、笑顔を見せる。
担当スタッフ
■デザイナー:大津裕子
■アカウントプランナー:鈴木沙耶
新型コロナウイルスの感染拡大で販路が大幅に縮小。新潟に特化した通販サイトに魅力を感じました
ー 新潟直送計画への出店やデザイン依頼の経緯を教えてください
鈴木(プランナー):2020年に私からお声がけさせていただきましたね。
保苅(保苅米穀):とてもありがたかったのですが、その当時はまだ積極的に考えていませんでした。出店を決めたのはその2年後ですね。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、取引先の飲食店と土産物店が打撃を受けて、販路が途絶えてしまったんです。「ネット通販を始めるなら今だ!」と、改めて鈴木さんにご相談しました。
鈴木:ネット通販の経験はあまりなかったというお話でしたよね。
保苅:はい、一応自社サイトで販売していました。でも日々の業務に追われてなかなか手が回りませんでしたね。固定客はいましたが、情報更新ができなくて新規顧客を獲得できなかったんですよ。その点、新潟直送計画は専門スタッフがページを作ってくれます。それに運営事務局が間に入ってくださるので、受発注業務もさほど手間がかかりません。あと、新潟に特化しているのが良いと思いました。地元の生産者に寄り添ってくれるECサイトに好印象を抱きましたね。
鈴木:お忙しい中でも店舗様用のブログ「店舗からのお便り」を投稿してくださっていますよね。ありがとうございます。
保苅:少しでも販促に繋がれば良いなと思って、頑張っています!
鈴木:そして、デザイン制作は出店と同時にご依頼いただきました。
保苅:もともと、うちの妻が「かわいい!って思えるお米のギフト商品を作りたい」と常日頃から言っていたんですよ。補助金を活用できることになったので、お米のイメージを覆すような新鮮なパッケージデザインを依頼しました。
鈴木:新潟直送計画でも2021年頃からカジュアルギフトの需要が増えてきたんですよね。タイミングとしては良いなと思いました!
各産地のお米が集まる米問屋だからこそのギフトセット。地域性を感じるデザインに仕上がりました
ー デザインが決まるまでのエピソードを教えてください
鈴木:従来のパッケージはどなたが手がけていたんですか?
保苅:私です。「ザ・米」といった、よくあるデザインでした。それはそれで、既存のお客さんを対象に今でも使っています。ただ、それとは違うものとして、ギフト需要に応えるようなパッケージを、妻とデザイナーの大津裕子さん、女性コンビに依頼しました。私が入ると、変わり映えのないものに仕上がってしまうので(笑)
大津(デザイナー):奥様と一緒に作らせていただきました!話し合いを重ねる中で、各産地の美味しいお米を集めてセットにできるのは、お米問屋だからこその強みだなと思ったんです。そう考えると、自ずと「地域性」を感じるデザインに方向性が決まりました。
鈴木:それぞれのお米の産地にちなんだデザインということですね。
大津:そうなんです。魚沼産コシヒカリは、雪国を象徴する「かんじき」と「傘」。岩船産コシヒカリは、村上の笹川流れの波と岩場に鎮座する鳥居。佐渡産コシヒカリは、特別天然記念物のトキをモチーフにしました。新潟産コシヒカリは、県の認証を受けた特別栽培米なので県のシルエット。新之助は、ブランドカラーの赤をベースに新潟のシンボル「雪椿」をあしらってみました。
保苅:イラストも色の組み合わせもかわいい!女性にも興味を持っていただけそうなデザインです。これは私には思いつかない。
大津:最初はもう少し素朴な案を出させていただいたんです。でも、奥様が「とにかく『かわいい』に全振りしたい!」とおっしゃったので、私も一気にハンドルを切ることができました(笑)
鈴木:奥様の熱意があってこそのデザインですね。発色も良いですよね。
大津:発色もこだわりましたね。色の力を発揮しやすい印刷方式を取り入れたので、蛍光色やパステルカラーがパキッと出ているんです。あと、5種類のお米を入れる化粧箱はシンプルに白にしました。その方がカラフルなパッケージが引き立ちますし、お米を想起させるかなと思ったんです。
鈴木:同時進行で企業ロゴも作らせていただきました。
大津:ロゴはパッケージと打って変わって、落ち着いた雰囲気を大切にしました。五ツ星マイスターの確かな目利きを裏付けるような、信頼感を感じるデザイン。化粧箱と包装紙、どちらにも使っています。
保苅:このロゴがあることで、引き締まりましたよね。振り切ったとはいえ、単にかわいいだけじゃないというか。
大津:そうですね、良い意味で変に弾けずに済みました。お米のパッケージはポップだけど、それをまとめるロゴ入りの化粧箱はシンプルなデザインで気品を感じます。ちなみに化粧箱に空いた穴は、日本の伝統文様「雪輪」の形です。中のパッケージがちらりと見える仕様になっています。
鈴木:新潟直送計画でギフト利用をされるお客様は比較的女性が多いので、その需要にも応えられるデザインになったと思います。
予想外の販路拡大に驚き。「観光客への手土産にぴったり」と、新潟市の観光課からも反響がありました
ー 新しいデザインの反響を教えてください
保苅:新潟駅がリニューアルしましたよね。土産物店から「ぜひ置かせてほしい」というお声をいただいたので販売しています。そういえば、そのお店の方も女性でした。やはり女性にも刺さるデザインなんでしょうね。「よし!」って思いました(ガッツポーズ)。
鈴木:狙い通り(笑)新潟駅ではバラ売りしていますよね?
保苅:そうなんです。新潟直送計画では5個入りのセットですが、駅では2個入りのセットを置いています。化粧箱を別売りにして、お客さんが好きに詰められるようになっているんですよね。幅広い世代の方が手に取ってくださっているみたいです。
大津:単品でも成立しているデザインなので、一個一個が「新潟のお米の広告」のような存在になってくれれば嬉しいです。
保苅:そういえば、新潟市の観光課からも反響があったんですよ!新潟直送計画のページをご覧になったそうで、「5種類入りのギフトセットを、海外からの観光客にプレゼントしたい」という嬉しいお話でした。これは予想外でしたね。
大津:そうなんですね!カラフルなパッケージはカジュアルなシーンに、高級感のある化粧箱に入れると行政関係のようなフォーマルなシーンにも使っていただけるということですね。
鈴木:新潟直送計画では5種類のギフトセットのほかに、魚沼・岩船・佐渡産コシヒカリ、それぞれ単品のセットも出品していただきました。その単品商品の意外な使われ方について「店舗からのお便り」に投稿してくださっていましたよね。
保苅:そうそう、香典返しとしてご注文いただきました。「魚沼産コシヒカリ」のパッケージは薄い水色とピンクの配色で、ほかの4種類に比べると落ち着いた色合いなんです。仏事のシーンでも使っていただけるんだな、と目から鱗が落ちました。今後の展開のヒントになります。
大津:ポテンシャルが高いデザインに私も驚いています!
保苅:素晴らしい商品を作っていただき、我が社の強みがまた一つ増えました。今後もこちらかご相談させていただくのはもちろんなんですが、逆に「こんなパッケージで売りませんか!?」といった提案もお待ちしております。
鈴木:ぜひぜひ!今後ともよろしくお願いいたします。