上越市の西沢珍味販売は、水産物の加工や販売を手がける会社。酒どころ新潟にふさわしい珍味を数多く取り扱っています。
創業は1972年。もともとは加工品の袋詰めや卸売業が主な事業内容でしたが、1990年頃からオリジナル商品の開発も始めました。それが、清酒漬け珍味。地元にある田中酒造の清酒「能鷹（のうたか）」で作った独自のタレに、えいひれや貝柱を漬け込んで熟成させました。続いて、ワイナリー「岩の原葡萄園」のワイン入りの特製タレを活かした商品も開発。
どちらもしっとりとしたやわらかさ、ほんのり感じるお酒の風味が魅力。従来の「乾きもの」のイメージを覆す珍味として、地元民や観光客の人気を集めました。東京のアンテナショップでも取り扱われるようになり、さらに販路が拡大したそうです。
新潟直送計画に出品している「越後上酒漬け珍味」
新潟直送計画に出品しているのは、えいひれや貝柱、あなごなどをお酒に漬け込んだ珍味。リブランディングからパッケージデザインをサポートさせていただきました。そこで、社長の永野富士夫さん、ネット通販担当の妻・聖子（きよこ）さんにインタビュー。デザイン依頼のきっかけや反響について伺います。
西沢珍味販売 社長 永野富士夫 様
上越市出身。29歳の時に、妻・聖子さんの実家「西沢珍味販売」に入り、社長に就任した。先代から受け継いだ珍味製造を続けながら、全国各地の日本酒やワインを使った上酒漬けの商品開発に取り組む。新潟直送計画に出品している「越後上酒漬け珍味」の中で特にオススメのものは、「鮭のワイン漬け」だそうだ。「ワインや焼酎のおつまみにも最高！日本酒にも合うでしょうけど、私、日本酒飲んだら翌日大変なことになるので、試したことはありません」と、笑う。「珍味とは、他にはない新しい味という意味。だから、珍味屋として『新しい味』を追求していきたいです」と、力を込めた。
担当スタッフ
■デザイナー：石田美優
■アカウントプランナー：鈴木沙耶
産直サイトとして成長し続ける新潟直送計画に感心。私たちも仲間に入りたい！と思いました
「鮫のワイン漬け」はまろやかな味わいが魅力です
ー 新潟直送計画への出店や、デザイン依頼の経緯を教えてください
鈴木（プランナー）：弊社からお声がけさせていただきましたよね。出店の5、6年前だったと思います。
聖子さん（西沢珍味販売）：そうですね。だけどその時はお断りさせていただきました。というのも、すでに自社でネット通販を始めていたからです。
永野社長（西沢珍味販売）：せっかくお声がけいただいたんですが、他のECサイトに出店する意味を見出せなかったんですよね。
鈴木：どちらかというと新潟直送計画の方が後発でした（笑）当時は出店店舗がまだ200店舗ほどでしたし、お二人のお気持ちはよくわかります。
聖子さん：ある時、取引先の方から、清酒とワイン漬け珍味のパッケージリニューアルを提案されたんです。
従来のパッケージは社員が考えたデザインでした
永野社長：じつは、今までは私たち社員がパッケージを考えていたんですよ。従来のデザインに何か問題があるわけではなかったのですが、今後の販路拡大を見据えるとリニューアルも必要かなって思いました。
聖子さん：とはいえ、どうすればいいんだろう？と頭を抱えていた時に、ナイスタイミングで新潟直送計画から再び連絡があったんです！
鈴木：やっぱりあきらめきれなくて（笑）パッケージリニューアルの話を聞いて、過去のデザイン実績を引っ提げて商談させていただきました。
聖子さん：そしたら、新潟直送計画が手がけたデザインがとっても良かったんです！どれも企業や商品の魅力が伝わる素晴らしいデザインでした。しかも、最初の商談の時に比べて、出店店舗の数も倍以上になっていたこともあり、デザイン制作依頼と同時に出店も決めました。
永野社長：産直サイトとして成長し続けている新潟直送計画には感心しました。「新潟の産品に特化する」というコンセプトもブレることなく健在だったので、信念を感じました。あと、知り合いの出店店舗からの後押しもあったんですよ。
聖子さん：そうそう、「もも太郎」のアイスで有名な第一食品の方からもオススメされました。「産直セレクトショップ『KITAMAE』もオープンするから、実店舗でも商品を販売できるらしいよ！」って。そんな話を聞いていると、私たちも仲間に入りたいって思いました（笑）
鈴木：じつは、上越で西沢珍味販売さんの商品を見る度に、「出店してほしいなぁ」と思っていたんです。ありがとうございます。パッケージデザインはもちろん、リブランディングという形で、新たにシリーズ名も考えさせていただきました。
カラフルでポップ。パッケージを見ただけで商品の魅力が伝わるデザインが気に入りました
ー パッケージデザインが決まるまでのエピソードを教えてください
永野社長：これまで「清酒漬け珍味」と「ワイン漬け珍味」は、別々のネーミングで売っていたんです。何か包括したシリーズ名が欲しかったんですが、どうしても思い浮かばなかったんですよね。
石田（デザイナー）：パッケージデザインの前に、そのシリーズ名を考えさせていただいたんです。どちらも上越のお酒で漬けたもの。そこで、「上越」の「上等なお酒」という二つのワードから連想して、「上酒（じょうしゅ）」という言葉をご提案させていただきました。ひっくるめて、「越後上酒漬け珍味」というシリーズ名です。
永野社長：素晴らしいですよね。コレだ！って思いました。上越の「上」、上等の「上」。響きも良いですよね。うちの珍味は素材が良いだけじゃだめなんです。美味しいお酒があるから良い商品ができる。そういう意味では、「上酒」という言葉には、酒蔵やワイナリーに対する敬意も込められているなと。
石田：そのシリーズ名を決めた上で、「清酒に漬け込んだやわらか珍味」と「ワインに漬け込んだやわらか珍味」という商品名をネーミングしました。
従来のパッケージ（左）と新パッケージ（右）
聖子さん：「やわらか」って入っているのが良いですよね。今まで説明しないと魅力が伝わらなかったんです。だって、珍味って「かたい」イメージがありますよね。
永野社長：そうそう、従来のパッケージには「ワインづけ」と書いているだけ。「だからどうなるの？」って疑問が付いてくるので、「お酒に漬けることでやわらかくなるんですよ」って、いちいち説明しないといけなかった。
聖子さん：でも店頭では、常に誰かが説明してくれるわけではありません。その点、さりげなく「やわらか」を入れてくれることで、パッケージだけで伝わるんですよね。しかも、徳利とワイングラスのポップなシルエットが、さらにわかりやくしてくれています。
永野社長：ワイングラスって意外でした。私なら樽しか思い浮かびません（笑）デザインも気に入りましたね。カラフルでよく目立ちますし！
鈴木：作り手側ではなく、消費者側の目線ですよね。
聖子さん：ギフトセット用に箱の選定と掛け紙もお願いしました。リーフレットもデザインしてくださいましたね。どの制作物にも徳利とワイングラスがあしらわれています。
石田：パッと見て、誰でもわかるパッケージにしたいと思ってデザインしました。そのようなお言葉をいただけて嬉しいです。
ギフトセット用の化粧箱と掛け紙
発送時の同梱用リーフレット
パッケージをリニューアルしたことで、東京のアンテナショップでの売り上げが倍になりました
ー デザインを一新して反響はありましたか？
鈴木：新潟直送計画のセレクトショップ「KITAMAE」でも人気です。現場のスタッフからは、若い人も手に取っていると聞いています。
聖子さん：嬉しいですね。若い人たちに認知してもらうことは課題の一つだったんです。弊社が運営しているネット通販の客層も60代や70代がほとんど。若い人は珍味を知らないので、そもそも検索をしないんですよ。
KITAMAEでも好評の「越後上酒漬け珍味」
永野社長：デザインの力ってすごいですね。以前から東京のアンテナショップでも取り扱ってもらっていたんですが、店長が新しいパッケージを見るなり、「こっちを置きましょうよ！」っておっしゃったんです。そしたら、売り上げが倍になったんですよ！ほかにも、新規の販売先のバイヤーにこのパッケージを見せたら、だいたい取り引きが決まりました。
聖子さん：デザインが販路の新規開拓をしてくれたって感じ。初めはネット通販用に考えた商品でしたが、リアル店舗でも広がりがあって本当に良かったです。
鈴木：従来のパッケージもお店に置いているんですか？
聖子さん：そうですね。店舗様やお客様のご要望に合わせています。
永野社長：これはこれで馴染んでいます。素朴さや手作り感が合う地域やお店があるんですよね。地元では従来のパッケージを置いているお店が多いよね。
聖子さん：東京からきた人にとっては、田舎っぽいデザインが受ける場合もあります（笑）
鈴木：シーンによって使い分けられるようになったのは良いですね。
聖子さん：これからもニーズの変化に合わせた売り方を考えていきたいです。
鈴木：新潟直送計画も産直サイトとして、もっと成長していきたいです。ぜひアドバイスください！
聖子さん：今回のように、ブランディングまでしてくれるなんて知りませんでした。もっと、全面に出した方が良いと思いますよ。
鈴木：そうですよね。私たちももっと認知してもらえるように頑張ります。これからもよろしくお願いします！
